花瓶の花

病室の魔女編



目が覚めて分かったの。

わたしは魔女なんだって事が。

魔女はお姫様を綺麗にしたり また同じ手で憎しみからお姫様を殺す。

魔女は女の感情が激化した象徴。
誰でも魔女になりえるの。

だけど魔女だって女の子。
綺麗になりたいし恋もしたい。
なのにどうしてわたしをそんな風に扱うの?
どうして腫れ物に触るように気を使うの?

わたしは探したわ。
闇の中で必死でわたしを呼ぶ声の主を 女の子のわたしをみつけてくれた貴方を。

やっと見つけた。
貴方はわたしを抱き締めてくれた。

嬉しくて涙が零れるくらいなのに 貴方は行ってしまった。

わたしは待ってたのに。
本当は窓に張付いて貴方が来てくれるのを見ていたかった 会いに行きたかったの に
動かない身体ではそれは叶わないから。
ずっと待ってたのに。

あぁ、やっぱりわたしが魔女だから貴方はそんな目でわたしを見るのね。

わたしの目には貴方しか映っていないのに、貴方はそれに気付かない。

「…ずっと探してたの。」

貴方に言っているのに。
目の前にいて、伝えているのに貴方は行ってしまった。

この身体が動くならわたしは貴方を抱き締めるのに。

もう一度 窓の外に貴方を探す。

扉が開いたの。

貴方がかえって来てくれたのかと思ったわ。
でも、違った。

だから聞いたの。

「ぼうや、あの人は何処? 」

って。 心の中で、叫んだわ。
なのにやっぱりぼうやにも置いて行かれたわ。


わたしは魔女。

綺麗になることも 恋をすることも赦されない。

開く扉に胸をときめかせて 現われる影に絶望する。
貴方も わたしの前から居なくなるのでしょう?

今日も1人 涙を流す。